いま、ここ

 ひとたび筆をとったら最後まで一気に書くのみ、休止や後戻り、書き直しはしません。起点から終点まで線を順にたどれば、時間の流れとともに筆がどう動いたのか思い描くことが出来ます。筆の軌跡はすなわち時の流れであり、作品は音楽や舞踊と同様、時間とともに現前します。「いま、ここ」に生きた証しとして、見ることの出来ない時間美を唯一無二のかたちに結晶させたい。